副業

社員の副業をどこまで認めるべきか

社員の副業をどこまで認めるべきか

令和に入ってから副業に関する問い合わせをいただくようになりました。
「社員の副業を認めたくないのだけれど、どうしたらよいでしょうか?」
「副業を認める内容の就業規則に変更したいのですが作成してもらえますか?」
「社員の副業を認めるときの注意点はありますか?」
現在のところ副業に関しては、ほとんどの企業の就業規則上で原則として禁止されていると思います。
しかし、近年の裁判例や政府のガイドライン、世間の風潮などを見ていると、一定の条件はあるものの、基本的に副業を容認する方向に変わってきています。
裁判例では労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは自由であり、本業に支障をきたさない限り、理由なく禁止することはできないとされました。
労務提供上問題がなければ原則として認めなければならないということになります。
副業に関する認識は180度変わったといえます。

許可制とすることは許される

しかし、無秩序に副業を認めてしまったら職場が混乱する恐れがあります。
副業の時間が決まってしまうと急な残業や休日労働を指示することが難しくなってしまいます。
副業が原因で主業が疎かになるようでは副業を制限せざるを得ません。法律上は自由とはいえ、基準を示して制限することは可能です。
また、副業を許可制とすることは認められていますので、許可の基準を設けて許可制とするのが無難です。

720時間以内であれば副業を認めても健康上の問題ない

副業を行う場合の労働時間について、私が妥当であると個人的に考える基準は残業時間の上限の範囲内であることです。
例えば全く残業がない職場で働いているとするならば、年間通して720時間以内の範囲内での副業であれば健康を害しないと思います。
主業の残業時間と副業の時間を足して、その合計が720時間以内であれば副業を認めても健康上の問題ないでしょう。
(※720時間は、働き方改革関連法で上限とされている年間残業時間の上限です。詳しくは「働き方改革関連法2残業時間の上限について」を参照してください)。

※なお、本件は個人の解釈であるため、万一の際の責任は負いかねます。参考までにご覧ください。個別相談がある場合は、お問合せからお願いします。

副業に関する就業規則記載例

副業を許可制とする導入方法はそれほど難しくありません。
以下のような流れで導入するとよいでしょう。

1.就業規則の副業に関する条文を変更もしくは追加
2.労働者に周知
3.制度導入(誓約書/届出書を提出してもらう)

各々のサンプルを紹介します。

こちらからダウンロードいただけます

1.就業規則記載例

第〇条(副業)
就業時間外において副業を行う場合、事前に会社に副業申請書を提出し許可を受けなければならない

2.副業を行う場合は以下の内容を事前に会社に申出るものとする

1.副業先の社名及び住所
2.副業を行う労働時間
3.その他副業先の労働条件

3.会社は従業員が副業を行うことによって、業務に支障を来たすと判断したときは副業を禁止することができる

4.事前の届出を怠り副業を行っていることが発覚した場合は、本規則〇条(懲戒)に則り処分する

2.副業に関する誓約書の例

副業に関する誓約書の例

3.副業に関する届出書の例

副業に関する届出書の例

万一の通勤災害が発生したときにはどうなるのか?

副業で注意しなくてはならないことの一つとして通勤途中で事故にあったときにどのような扱いになるかということがあります。
通勤途上で事故にあった場合、労災保険が適用されますが、主業の会社(A社)から副業先(B社)へ向かう途中で事故にあった場合はB社の労災保険が適用されます。
この場合、B社の給与をもとに休業補償が行われることになります。
副業の方が当然給与額は低額ですから副業先に向かう途中で事故を起こした場合の休業補償額は低額になります。
後々知らなかったなどということにならないように副業を行う職員の方には事前に伝えておきましょう。
逆にB社からA社に移動するときの事故はA社の給与を基礎に休業補償額が決まります。