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新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大に対する企業の対策~自社で取り組むべきこと検討すべきこと~前編

新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大に対する企業の対策~自社で取り組むべきこと検討すべきこと~

勢いが止まらない新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大

日本国内への入国制限や中国工場の休業の影響によりヒトとモノの流れに滞りが生じています。
その影響をうけ国内観光産業や国内製造業では売上が急減してしまい経営の根幹を脅かされる事態になっている企業が見受けられるようになりました。
また自社で取り組める感染予防方法を検討すると同時に新型コロナウイルスの感染者が自社でも発生することを想定しておくことも必要です。
問題が混然としていますが一つ一つ丁寧に手をうっていきましょう。

感染拡大を防ぐための対策(体温の管理と報告)

政府が懸命に感染拡大の抑え込みを図っていますが、日本は現在グラフに示すように感染者が急激に増加する傾向になってきています。
そのような中、企業としてどのようにこの問題に取り組むかを検討しなければなりません。
近い将来、新型コロナウイルス感染者が自社でも発生すると想定しておくことも必要です。

国別の感染者数の推移

新型コロナウイルス予防策 まずは従業員の体温管理から行うようにしましょう

アルコール除菌やマスク着用を奨励するとともに小中学校の体温管理表と同じように以下のような表を作成し、定期的に社員に報告してもらいましょう。
そして37.5度以上の発熱があり新型コロナウイルスに感染した場合の症状がみられる場合は、本人の症状、業務停滞リスク等を考慮し休業もしくはテレワーク等自宅での業務を検討してください。

従業員の体温管理

休業期間中の給与については、新型コロナウイルスかわからない時点で発熱などの症状のみをもって休ませる場合、自主的に休まれる場合は通常の欠勤として扱われ、会社から命じた場合は「使用者の責めに帰すべき事由による休業」となるため休業手当(平均賃金の60%)の支払い義務が生じます。
感染の症状がみられるときはすぐに受診するよう勧めてください。

テレワークや時差出勤を行う場合(感染防止に向けた柔軟な働き方)

テレワーク

在宅勤務が可能である業務であれば、テレワークによる在宅勤務を検討してみましょう。新型コロナウイルス感染拡大の影響により復活した助成金制度があります。時間外労働等改善助成金(テレワークコース)です。各都道府県の労働局雇用環境均等室が担当しています。これらの制度を上手に利用すればコストをおさえて制度の導入が可能です。(2020年3月3日発表の資料)

テレワークの特例コース 職場意識改善の特例コース
対象事業主 新型コロナウイルス感染症対策としてテレワークを新規で導入する中小企業事業主 新型コロナウイルス感染症対策として休暇の取得促進に向けた環境整備に取り組む中小企業事業主
助成対象の取組 ・テレワーク用通信機器の導入・運用
・就業規則・労使協定等の作成・変更等
・就業規則等の作成・変更
・労務管理用機器等の購入・更新等
要件 事業実施期間中にテレワークを実施した労働者が1人以上いること 事業実施期間中に新型コロナウイルスの対応として労働者が利用できる特別休暇の規定を整備すること
事業実施期間 令和2年2月17日~令和2年5月31日
支給額 補助率:1/2
1企業当たりの上限額:100万円
補助率:3/4
※事業規模30名以下かつ労働能率の増進に資する設備・機器等の経費が30万円を超える場合は、4/5を助成
上限額:50万円

時差出勤

新型コロナウイルスへの感染を防ぐため、なるべく人混みを避けて時差通勤を導入することを検討してみましょう。
労働者と使用者の間で合意があれば始業時刻や終業時刻を遅らせたり、早めたりすることが可能です。
またフレックスタイム制の導入を検討してみてもよいかもしれません。
フレックスタイム制は一定の期間についてあらかじめ総労働時間の範囲を設け、コアタイム(必ず勤務しなくてはならない時間)とフレキシブルタイム(社員の裁量に任せる時間)を決めることにより、始業・終業の時刻を職員の裁量に任せる制度です。
職員は仕事と生活の調和を図りながら効率的に働くことができます。
導入するためには事前に就業規則に規定し、労使協定も結ぶ必要があります。

就業規則の条文例
第〇条フレックスタイム制が適用される社員の始業及び終業の時刻については、社員の自主的な決定に委ねるものとする。ただし、始業時刻につき社員の自主決定に委ねる時間帯は、午前7時から午前10時まで、終業時刻につき社員の自主決定に委ねる時間帯は午後3時から午後7時までの間とする
2.午前10時から午後3時までの間(12時~13時までの休憩時間を除く)については所属長の承認がないかぎり所定の勤務時間とする

フレックスタイム制で定める事項
・対象となる労働者の範囲
・清算期間
・清算期間における総労働時間
・標準となる1日の労働時間
・コアタイム及びフレキシブルタイム(任意)

働き方改革法によりフレックスタイム制の清算期間が1カ月⇒3カ月に延長可能になりました。

新型コロナウイルス(COVID-19)の影響による売上の急減・低迷

2月中旬、ある社長から問い合わせがきました。社長仲間で「売上8割を占める取引先から仕事をきられてしまう会社」があって今後の対応についてみんなで協力してあげたいのだが知恵を貸してくれないかとのことでした。
元請け企業と中国企業の取引がなくなり、業務を内政化しないと仕事がなくなるということで、仕事をすべて引き上げられてしまったそうです。
ここまで極端ではなくても
「中国工場のラインがストップしたらしく受注が入らないため今月の売り上げが6割になってしまった」
「業務量が減ってきてしまったのでパート職員に交代で休みをとらせたい」
「資金が枯渇してしまいそうなので借り入れを増やす算段をしているところだ」
「貸倉庫にマスクを保管していたのだけれど、在庫が全部でていってしまったので賃料が入らなくなった」
ここ1カ月の間、訪問する先々で景気の悪い話を聞くようになりました。

雇用調整助成金の拡充を図る政府

2月27日、小中学校等を休校とすることを政府が決定し発表しました。
その際、雇用調整助成金について首相が言及した際に、「リーマンショックのときと同じように忙しくなる」と社労士であれば誰もが感じたことだと思います。
2月14日にすでに観光業等で海外からの観光客が減ってしまい休業になっている会社には雇用調整助成金の支給が決定していましたが、翌2月28日の報道資料では「部品の調達・供給等の停滞の影響を受ける製造業」についても支給されることが決まったのです。

新型コロナウイルス感染症への対応として、令和2年2月14日より雇用調整助成金について特例措置を講じているところですが、今般、特例措置の対象となる事業主の範囲を拡大をすることとしました。

1 特例措置の対象事業主の範囲の拡大
特例措置の対象となる事業主を、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主とします。

[現行の対象事業主の範囲]
日本・中国間の人の往来の急減により影響を受ける事業主であって、中国(人)関係の売上高 や客数、件数が全売上高等の一定割合(10%)以上である事業主

[拡大後の対象事業主の範囲]
新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主
※これにより、日本人観光客の減少の影響を受ける観光関連産業や、部品の調達・供給等の停滞 の影響を受ける製造業なども幅広く特例措置の対象となります。