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雇用調整助成金の申請で不支給にならないために注意すべきこと

雇用調整助成金の申請で不支給にならないために注意すべきこと

この記事は2020年4月5日現在の政府の発表や労働局、ハローワークからの情報をもとに書いています。
雇用調整助成金に関する問い合わせが弊社にも殺到しているため、ハローワークの窓口へ行き「この場合どうするの?」というように細かい質問をするのですが、まだハローワークの受付窓口では判断ができないことがあります。政府の報道発表に現場がついてきていない感じです。
例えば、通常、雇用調整助成金の短時間休業は一斉付与でない限り認められません。
しかし、3月28日厚労省発表資料の下の方に小~さく「短時間一斉休業の要件緩和」と書いてあります。
要件緩和ということは、一斉付与でなくても短時間休業が認められるのではと思い確認したところ、「政府が発表しているのでそうなるだろうと思いますが、まだこちらに情報が下りてきていません」との回答でした。
他にも色々とあるのですが、このように曖昧な部分が多い状況で助成金申請をすると、窓口で申請の受け付けはしてもらえても、後々になって不支給決定をされてしまうこともあり得るな…と危険を感じています。
雇用調整助成金は、従業員様への休業手当を支給した後に支給されます。想定していた助成金が入ってこなくなった…などとなったら目もあてられません。
より入念に確認した上で申請しましょう。
今回の特例措置による雇用調整助成金の申請をする際の注意点についてご説明します。

新型コロナウイルス感染症にかかる雇用調整助成金の特例措置の拡大

生産指標はどの時期の指標を使うのか? 5%減? 10%減

雇用調整助成金の申請は賃金締切日ごとに行います。
例えば、締切日が20日であれば21日~翌20日までの期間です。
最初の申請は最初の21日が来る2週間ほど前に休業計画申請を行います。
翌月も休業になりそうであれば、翌月の21日より前に休業計画申請を行います。
支給申請は、休業計画の終了日から2カ月以内に行う必要があり、図にすると以下のようになります。
これが通常の雇用調整助成金の申請手順です。

例:4月21日から休業を開始した場合

雇用調整助成金の申請 4月21日から休業を開始した場合

しかし、今回は「遡及申請」が認められています。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、雇用調整助成金の支給を決めたとき(2月28日)には、すでに休業状態になってしまっている企業が多数確認されていたためです。
そのため6月30日までであれば「1回だけ」遡及申請が認められることになりました。
遡及申請の際には、1回目の計画申請と1回目の支給申請を同時に行うことになります。
ここで問題になってくるのが、遡及申請を行った際に、いったいどの時期の生産指標を使うのか? ということです。

計画申請を行った月の前月の生産指標

上図のように3月31日までは生産指標要件が10%以上低下。4月1日からは生産指標要件が5%以上低下となっています。
生産指標要件は、計画申請を行った月の前月の生産指標を用います。ということは、4月に計画申請を行うと3月の指標を用い10%以上低下していないと雇用調整助成金の対象にならないということになります。
同じ休業状態であったとしても5月に計画申請を遡及して行えば4月の指標を用い、5%以上低下していれば支給対象となるということになります。
これは少しおかしな話ですので、この件をハローワークに確認したところ、「はっきりとは言えないが、おそらくそのようになる。また詳しく分かり次第連絡する」との回答でした。
これを聞いたときに、焦って申請はしないほうが良いと考えました。
遡及申請ができますし、申請のタイミングによって支給されたり支給されなかったりすることがあってはならないからです。

生産指標は「売上」で確認 売上が3月 昨年対比5%低下。4月も昨年対比5%低下の場合は、いつ申請すべきか?

手形取引を行っている会社では、3月と4月の売上はまだそれほど低下していません。
売上が急激に落ち込むのはこれからです。
私のクライアント先で3月と4月の両月とも売上が5%減という会社があります。
その会社は、4月11日~5月6日までの間を休業とする予定になっています。
給与の締切日は20日です。
したがって、4月11日~4月20日が1回目の期間、4月21日~5月20日が2回目の期間ということになります。
通常通り現段階で1回目の計画申請を行うと3月の指標を使うことになりますから、10%以上の低下とならないため、助成金の対象にならない可能性があります。
ですが5月に入ってから遡及して計画申請と支給申請を同時に行えば4月の指標を用い5%以上の低下となるため助成金の対象となる可能性があります。
このように同じ内容でも提出するタイミングで支給されたり、されなかったりということも起こり得ます。
売上の減少が5%~10%の場合は、このあたりを充分に申請窓口にて確認してから行うようにしてください。

派遣会社さんからの問い合わせ 一つの派遣先のみが休業になってしまった!雇用調整助成金は受給できるのか?

先日、派遣労働者数が300人程の派遣会社さんから問い合わせがありました。
「派遣先のうちの一つが休業になることが決まりました。弊社も雇用調整助成金をもらうことはできるのでしょうか?」
雇用調整助成金の要件の一つに休業規模要件というものがあります。

判定基礎期間における対象労働者に係る休業又は教育訓練の実施日の延日数が、対象労働者に係る所定労働延日数の 1/20 (大企業の場合は 1/15)以上となるものであること

ガイドブックにはこう書かれています。これだけではよくわかりませんね。ご説明します。
判定基礎期間とは、先ほどの例でいうところの4月21日~5月20日のような賃金締切日に合わせた期間のことです。
例えば、その期間の所定労働日数を21日とします。派遣会社の労働者数は300人ですから、延べ6,300日(21日×300人)の所定労働延べ日数となります。
その延べ日数の20分の1以上(大企業は15分の1以上)であることが必要です。
したがって、中小企業であれば6,300日×20分の1=315日(大企業であれば420日)以上の休業規模でないと雇用調整助成金の対象とならないということになります。

派遣会社様からの先ほどのご質問の件 「派遣先への派遣者数×休業日数」が315日以上となれば助成金の対象となります。
30人派遣していて11日以上休業となれば対象となりますが、10人派遣していて21日休業の場合は支給対象となりません。
派遣先ごとに休業規模がきまるのではなく、事業所ごとに休業規模が決まります。この点もご注意ください。

中小企業の定義は?300人でも中小企業

業種 以下の両方を満たしている
資本金 從業員数
製造業、建設業、 運輸業、その他の業種 3億円以上 300人以上
卸売業 1億円以上 100人以上
サービス業 5000万円以上 100人以上
小売業 5000万円以上 50人以上

雇用関係の助成金は、中小企業には5分の4大企業は4分の3など、中小企業の方の支給割合が優遇されています。
この中小企業の定義は上の表の通りとなります。サービス業であれば「資本金額5千万円以下、かつ従業員数が100人以下」です。
従業員数が100人を超えていても資本金額が5千万円以下であれば「中小企業」となります。
資本金額と人数の両方を満たすと大企業になります。
規模要件を確認する際に、間違えないように注意しましょう。
先の派遣会社様は従業員数が300人ですが、資本金が2,000万円のため中小企業となります。

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