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雇用調整助成金の具体的な計算方法(新型コロナ感染症にかかる特例措置の拡大)

雇用調整助成金の具体的な計算方法(新型コロナ感染症にかかる特例措置の拡大)

新型コロナウイルス感染拡大の影響により、雇用調整助成金の申請を検討する方が増えてきました。
労働局やハローワークの窓口には常に訪問者がおり、電話もつながりにくい状況になっています。
私のところにも一日に十数件の電話やメールでの相談が舞い込むようになりました。
その問い合わせの中で気づいたことは、雇用調整助成金の計算方法について、みなさん勘違いされているということです。
本日は雇用調整助成金の計算方法についてお話したいと思います。

新型コロナウイルス感染症にかかる雇用調整助成金の特例措置の拡大※4月3日現在、最新の政府発表資料になります

助成率は9割だが、各個人の賃金を基準に計算するわけではない。

事業主の皆さんからの問い合わせを聞いていると、従業員さん個々人の休業手当の9割が支給されると勘違いされている方がほとんどでした。
(※9割は、従業員を一人も解雇しない中小企業事業主に対する助成率)

雇用調整助成金の支給額は、「従業員さん全員の平均賃金額」×休業手当支払い率×9割が支給されます。とてもわかりにくいですね…。

具体的に支給額を計算してみましょう。まずは以下の書類を用意してください。
1.令和元年7月10日までに申告した労働保険概算確定申告書の控え
2.年間就業カンレンダーやシフト表等 労働者の年間労働日数がわかる書類
※部署ごとに年間労働日数が異なる場合は、被保険者数に応じて加重平均をとります。

まずは情報を集めましょう。例を上げて試算してみます。

1.労働保険概算確定申告書の控えから以下の情報をピックアップします。

平成30年度確定保険料内訳欄から
1.雇用保険被保険者適用分(129,176,000円)
2.雇用保険被保険者数(38人)

労働保険概算確定申告書

2.年間就業カレンダーから平成30年度の年間就業日数を調べます。

年間就業カレンダーから平成30年度の年間就業日数

3.年間労働日数261日

※1年単位の変形労働時間制を用いていればとても簡単に年間労働日数を算出できますが、部署ごとに年間労働日数がバラバラの場合は、加重平均をとります。例えば、従業員30人の職場において10人が年間260日働き、10人が255日、残りの10人が250日働く場合の所定労働日数は(10×260日+10×255+10×250)÷30=255日と計算します。

以上の情報が揃いましたら、以下の表に当てはめていきます。

雇用調整助成金 一人あたりの助成額単価を計算しましょう。

雇用助成金の申請書

※雇用助成金の申請書ダウンロードページより様式5号(2)をダウンロードできます
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080400.html

(1)前年度1年間の雇用保険の保険料の算定基礎となる賃金総額は、先ほどの労働保険概算確定申告書からピックアップした1を記載します。

(2)前年度1年間の1箇月平均の雇用保険被保険者数は、同じく労働保険概算確定申告書から②を記載します。

(3)前年度の年間所定労働日数は、年間就業カレンダーの3を記入します。

(4)=(1)÷(2)÷(3)とすることで従業員の皆さんの1日あたりの平均賃金額を計算します。
※雇用保険の被保険者全員が対象になっていますので、パートタイマーさんが多い職場では、この金額が低くなります。週20時間以上働く方も雇用保険の被保険者一人とカウントされるためです。

(5)休業手当の支払い率は、労使で協議し休業協定書にて定めます。労働基準法上は60%以上の支給が必要です。(※休業協定書上において、各部署により支払い率は決めて構いませんが、その場合、ここでは一番低い支払い率を記載することになります。)

(6)基準賃金額=13,024円×60%=7,814円

(7)一人当たりの助成額単価=7,814円×90%=7,032円(上限8,330円)

よって一人の従業員様が一日休業になった場合は7,032円支給されることになります。

一人当たりの助成額単価 × 一人当たりの休業日数 × 対象者数

一人当たりの助成額単価が決まれば、あとは単純な掛け算になります。
10人休業することが3日間決まった場合は、7,032円×10人×3日=210,960円を支給申請することになります。

休業する10人の賃金はバラバラですが、支給される額は一律です。この点を勘違いされる方が多かったのでご注意ください。

例えば、時給単価2,000円で1日8時間働く方(A)と時給単価1,000円で1日6時間働く方(B)がいた場合。
会社が二人に支払う休業手当は休業手当支払い率が60%とすると1.9,600円2.3,600円と全く異なりますが、支給される額は7,032円×2人×1日=14,062円となります。

なんと2.の方が休めば休むほど、会社は利益がでてしまうという計算になります。
Aの方個人に焦点をあてると助成されている額は73.25%です。
御社の場合はどうでしょうか?ぜひ試算してみてください。そして誰をどのように休ませるかを考えてみましょう。

・以下より各種書式をダウンロードいただけます。
各種書式ダウンロード →